銀行は生き物

3. 会社(わたし)を知って下さい

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若手の敏腕公認会計士さん、いわく。
営業のご出身、技術関連のご出身の社長さんには
共通点が多いそうです。

「俺には、オレしかできひん仕事があるねん。
 『オマエが担当やないとアカンねん』と言うてくれてる
 お客さんがオレを待ってるんや。

 せやから、まずお客さんとこ行くんや。
 帳簿なんて、後からどうにでもなるやんか。」

それに。
「伝票作成(かいけい)」は、
なにも金(かね)を生まないじゃないか!?

それが、
ご自身の並みはずれた「営業力・技術力」で会社を立ち上げた
【独立・創業社長】のホンネのような気がいたします。

(以下、本章の結論です。)

ちょっと話は、それますが・・・実はですね。
私の前の仕事場ほど「元・銀行員」が多かった職場って、
そうはないのではなかろうか、と思っているんです。

前に勤務していた外資系の保険会社の大阪支社には、
最盛期で「ワンフロアに100人」の営業職員が勤務してました。

ざっと、その3分の1が元・銀行員さん。
彼らは、同僚には、自由闊達に「昔の仕事」である銀行内部の話を
(なまなましく)聞かせてくれました。

そんな話のひとつなのですが・・。

ある日、
関西の「地域密着系の信用組合」のOBである同僚と食事をしていると
彼がさかんにプリプリ怒っていました。

よくよく聞くと、
昔、担当として融資したのに、転職して訪問しても
 保険に加入してくれない

と怒っています。

彼、いわく。
せっかく、俺が金貸したったのに!!
ですって!!

まだ銀行員さんとの交際歴が浅かった私は、
その表現にビックリして、
超優良メガバンク出身の後輩に、
そのことを(それとなく)話しました。

すると、物腰がエレガントな「紳士のなかの紳士」である後輩でさえ、
同じような感覚を持っている、とのこと。

私は二度びっくり!この人でさえ、同じことを言っている!

だって・・。
オレが融資した」というけどさ、
それって銀行のお金じゃないか。
アナタのお金じゃ、ないじゃないか!?

目をパチクリさせていた私に、
「紳士な後輩」は丁寧に教えてくれました。

ユアサさん、それは違うんですよ。
銀行員も、「ここだけは必死で」という先があるんですよ。
気持ち込めて稟議ねりなおした先は、こちらも愛着わくんです。
だから(その信用組合のOBさんのように)
おれが貸した」という表現になるんですよ。
気持ちは都銀であっても同じです、と。

な、なるほど・・・。
その紳士の熱心な話ぶりに、
十年前の私は、深く納得したものでした。